前回までで、Visual Studio Code のインストールと、Java環境の構築、GroupSession のソースからJavaプロジェクトを作成するところまで進みました。

今回は、開発用の Web アプリケーション実行環境を Visual Studio Code でできるようにしていきます。

 

 

Community Server Connectors のセットアップ

GroupSession の開発環境が整えられたとしても、それをすぐに実行できる環境がないと色々と手間がかかって大変です。なので、実装をするその前にローカルな実行環境を構築するために、拡張機能をインストールします。

コマンドパレットで、View: Extentions あるいは、Visual Studio Code の左端のアクティビティバーのアイコン file をクリック、または [Ctrl]+[Shift]+[x]Visual Studio Code の拡張機能 を検索、ブラウズすることができます。

ここで、Comunity Server Connectors を検索し、インストールします。

Community Server Connectors

Community Server Connectors

実際の操作方法などは、Working with Application Servers in VS Code に詳しく書かれていますが、一応以下、ざっくりと説明します。

まず、Community Server Connectors をインストールすると、サイドバーの ServersCommunity Server Connector が表示されます。

Community Server Connector

Community Server Connector

ここに、サーバー追加し、Webアプリケーションを展開します。

 

サーバーの追加

サーバーを追加するには、Community Server Connector を右クリックして、Create New Server を選択します。

Community Server Connector: 新しいサーバーを作成

Community Server Connector: 新しいサーバーを作成

Download server? に対して、Yes を選択します。

Community Server Connectors: サーバーの追加

Community Server Connectors: サーバーの追加

サーバーの一覧が表示されるので、ここでは Apache Tomcat 9.0.41 を選択します。

Community Server Connectors: ダウンロードするサーバーの選択

Community Server Connectors: ダウンロードするサーバーの選択

ここで、Apache License が表示され Continue.. と表示されるのでそれをクリックし、次に Do you agree to the license? には Yes (True) をクリックします。

Community Server Connector: ライセンスアグリーメント

Community Server Connector: ライセンスアグリーメント

すると、右下にポップアップで Job Download runtime: Apache Tomcat 9.0.41 started:.. と表示され、ダウンロードが開始されます。

ダウンロードが無事に完了すると、Community Server ConnectorApache Tomcat 9.0.41 が追加されます。

Community Server Connectors: Apache Tomcat サーバーの追加

Community Server Connectors: Apache Tomcat サーバーの追加

この時、エディタに表示された Apache License は閉じても差し支えありません。

 

ダウンロードしたサーバーの在りか

ここでダウンロードしたサーバーファイル群はどこにあるのかというと、既定では %USERPROFILE%\.rsp\redhat-community-server-connector\runtimes\installations1 以下にあります。

例えば、今回ダウンロードして展開したサーバーファイル群は、%USERPROFILE%\.rsp\redhat-community-server-connector\runtimes\installations\tomcat-9.0.41\apache-tomcat-9.0.41 になります。

Community Server Connectors のインストール先

Community Server Connectors のインストール先

サーバーの場所を変更したい

サーバーを任意の場所で展開させたい場合は、Create New ServerNo, use server on disk から、Tomcat のインストール先を選択して Select desired server location をクリックします。

 

GroupSession はこの中の、webapps に直接展開されて実行されます。プロジェクトフォルダではないことに気をつけてください。

後で、プロジェクトフォルダから、サーバーの webapps へファイル群を公開する手順も紹介します。

 

サーバーの起動と停止

早速、このサーバーを起動してみましょう。

Apache Tomcat 9.0.41 を右クリックして、Start Server をクリックします。

すると、下部のパネルにある OUTPUT タブにサーバー起動ログが流れます。

ログが文字化けする??

Apache Tomcat のログが文字化けするのは、Tomcat のログが UTF-8 なのに対し、Windows のコンソールが Shift-JIS のためです。対処するには、先に説明したサーバーのインストール先に移動して、

conf\logging.properties

java.util.logging.ConsoleHandler.encoding = UTF-8

の UTF-8 を SJIS に変更してください。

 

起動後、再度 Apache Tomcat 9.0.41 を右クリックして Server Actions... をクリックすると、

Please choose the action you want to execute. と表示されるので、Show in browser... から、http://localhost:8080/ をクリックすることで、Tomcat の動作確認ページが開きます。

Apache Tomcat

Apache Tomcat

サーバーを停止させるには、Apache Tomcat 9.0.41 を右クリックして Stop Server をクリックします。

 

GroupSession をビルドしサーバーに展開する

GroupSession をビルド

開発環境用の Webアプリケーションサーバーの設定もできたので、ここでひとまず GroupSession のソースをビルドします。2

パネルの TERMINAL タブをクリックするか、[Ctrl]+[Shift]+[`] でターミナルを表示させます。

ターミナルは以下のように、プロジェクトルートを現在のディレクトリとして表示していると思います。

D:\work\java\gsession>

dir コマンドで確認してみると、build.xml がプロジェクトルートにあることがわかります。

D:\work\java\gsession> dir

    ディレクトリ: D:\work\java\gsession

Mode                 LastWriteTime         Length Name
----                 -------------         ------ ----
d-----        2022/12/16     16:43                .vscode
d-----        2021/08/05     15:29                address
d-----        2021/08/05     15:29                anpi
    :
    :
d-----        2021/08/05     15:30                zaiseki
-a----        2021/08/05     15:29          33274 build.xml
-a----        2021/08/05     15:29            342 index.html
-a----        2021/08/05     15:30           5636 LICENSE.txt
-a----        2022/11/07     12:00            708 README.md
-a----        2021/08/05     15:30         297863 README.txt

ここで、

ant build

とすることで、ビルドが実行できます。

ビルドには少し時間がかかりますので、そのまましばらく待ちます。

多数の警告が出るとは思いますが、最後に以下のようにBUILD SUCCESSFUL と表示されれば正常にビルドが完了しています。

BUILD SUCCESSFUL
Total time: 1 minute 4 seconds
PS D:\work\java\gsession>

 

サーバーに GroupSession を展開

ビルドが無事に終わったら、早速サーバーにデプロイ(展開)してみましょう。

サイドバーの SERVERS で追加したサーバー(apache-tomcat-9.0.41)を右クリックして、Add Deployment をクリックします。

Community Server Connectors: Add Deployment

Community Server Connectors: Add Deployment

次の、What type of deployment do you want to add? については、Exploded(展開済み)を選択します。ちなみに、File の場合は、*.war などのアーカイブ済ファイルを指定します。

Community Server Connector: What type of deployment do you want to add?

Community Server Connector: デプロイメントタイプの選択

フォルダーの選択 ダイアログが開くので、D:\work\java\gsession を選択して、[Select Exploded Deployment] をクリックします。

Community Server Connector: 展開済みフォルダの選択

Community Server Connector: 展開済みフォルダの選択

続いて、Do you want to edit optional deployment parameters? は、No とします。

Community Server Connector: 追加のオプションの編集

Community Server Connector: 追加のオプションの編集

しばらくすると、apache-tomcat-9.0.41 の下に、D:\work\java\groupsession が追加されますが、サーバーには (Stopped)(Full Publish Required) 、デプロイメントには (Unknown)(+ Publish Required) と表示されています。

これは、要するにこれらの D:\work\java\gsession にあるファイル群を、サーバーのデプロイ先publish(公開)する 必要があることを告げています。

公開するには、サーバーを右クリックして、Publish Server (Full) をクリックします。

Community Server Connectors: サーバーに公開

Community Server Connectors: サーバーに公開

サーバーに公開するには少し時間がかかります。公開が完了すると、サーバー、デプロイメント両方とも、

(Synchronized) (同期済み)と表示されます。

 

GroupSession の動作確認

公開が終わったら、サーバーを起動して動作を確認します。

サーバーを右クリックして、Start Server でサーバーをスタートさせます。

OUTPUT にしばらくログが流れますが、目安として

... 情報 [main] org.apache.catalina.startup.Catalina.start サーバーの起動 [XXXXXX]ms

と表示されれば、起動処理が終わったと見てください。

ここで、サーバーを右クリックして、Server Actions ... から、Show in browser ... とすると、次のように選択できる URL が増えていると思います。

Community Server Connector: URL の選択

Community Server Connector: URL の選択

http://localhost:8080/gsession をクリックして、ブラウザが開いて GroupSession のログイン画面が表示されれば成功です。

GroupSession: ログイン画面

GroupSession: ログイン画面

初期ユーザーは、admin、パスワードも admin なので、ログインできるかどうかも確認しておきましょう。

これで、開発環境とそれに連動した実行環境を手に入れることができました。

 

次回:Hello World! の実装とビルド

ここまで長かったですが、次回こそ、なんとか Hello World! チュートリアルの実装とビルド、そしてサーバー上で実行してみたいと思います。

 

 


  1. %USERPROFILE% は、仮にユーザー名が hoge だとした場合、既定では C:\Users\hoge になります。 

  2. 本来、ダウンロードした GroupSession のソースには、すでにビルド済みのファイルが含まれています。 


 

 

zaturendo

中小企業社内SE。

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