前回の記事の続きになります。
今回は、前回の記事でも書いているように CPU やグラフィックスのパフォーマンスを色々見て行きたいと思います。
CINEBENCH R15 on XPS 13 9300
まずはド定番の Cinebench R15 を回してみました。3D モデルをレイトレーシングさせて、CPU の性能を測るベンチマークですね。
何度か計測してみましたが、最高値が 687cb で最低値が 435cb でした。
平均的に 500cb 台の間くらいですね。
Cinebench R15 | 結果(cb) |
---|---|
XPS 13 (9300) | 437 ‐ 687 |
これは、最高値の結果のスクリーンキャプチャーですが、ランキングで見ると Core i7-3770 と Core i7-4770K の間になってるんですよね。
Core i7 の 3770 とか 4770K というと、第3、第4世代の Core シリーズっていうことで、いまから8年前とか9年前の高スペックのデスクトップ向けの CPU であり、モバイル向けの CPU と比較するのは違うんじゃないか、という向きもあるかもしれませんが、それにしてもそんな程度の性能しかないの?
と勘違いしてしまいそうです。
でも実際は違います。
このグラフは、Cinebench R15 の実行中のグラフです。各グラフの凡例は以下になります。
- — CPU のクロック周波数
- — CPU 温度
- — GPU クロック周波数
- — GPU 温度
ベンチマーク開始直後に一気に CPU のクロックが跳ね上がって、それから少し遅れるようにして、CPU の温度が跳ね上がっているのがわかると思います。
ちなみに、Cinebench では GPU 関連はあまり関係ないのですが、CPU 内蔵グラフィックスなんで GPU コアの温度も CPU コアの温度につられて上がっています。
実際このときの CPU 温度は100度に達しています。
昔の CPU であれば、ある一定の温度に達すると自動的にシャットダウンされてしまったのですが、今の CPU は、CPU のクロック周波数を下げることで、CPU 回路の発熱を抑制して、シャットダウンや熱暴走起こさないように設計されています。
よくいわれる「サーマルスロットリング (Thermal Throttling)1」と呼ばれている状態ですね。
このグラフから、Cinebench R15 を実行している間、サーマルスロットリングが発生して、CPU の性能が抑制されていることを意味しています。
このベンチマークは梅雨時の室内、クーラーで 25、6℃前後の部屋で計測していますので、その時の室温や状況によっては結果が好転するかもしれませんし、更に悪くなるかもしれません。
CINEBENCH R20 with XPS 13 9300
Cinebench R20 は R15 よりも、更に新しい CPU の性能を測れるように進化したバージョンになります。一般的に、R15 よりも処理が重くなっています。
それ故に、こちらもしっかりとサーマルスロットリングが発生しています。
こちらは、計測を何回か行っているので、計測を行うたびにスロットリングが発生しているのが見て取れますね。
Cinebench R20 | 結果(pts) |
---|---|
XPS 13 (9300) | 1246 ‐ 1349 |
定番 FF ベンチで XPS 13 はどうなのか
ゲームのベンチとしては定番の FF ベンチ( Final Fantasy Benchmark)も走らせてみました。
ちなみに結果は以下の通りです。
FF XIV Storm Blood | 評価 | スコア | ローディングタイム |
---|---|---|---|
1920x1080高品質(ノートPC) | やや快適 | 3053 | 45.041s |
1920x1080標準品質(ノートPC) | 快適 | 4269 | 41.822s |
FF XIV Shadow Bringers | 評価 | スコア | ローディングタイム |
---|---|---|---|
1920x1080高品質(ノートPC) | やや快適 | 2893 | 40.172s |
1920x1080標準品質(ノートPC) | 快適 | 4203 | 35.981s |
いずれも、FHD の高品質で「やや快適」、FHD の標準品質で「快適」という結果になりました。
これはやはり、Iris Plus Graphics の性能に依る部分が多いですね。
きっちりと計測はしていないのですが、Comet Lake-U を搭載した 2-in-1 ノートでも実行してみたところ、フレームレートも評価も遥かに低かったので、この辺はやはり Iris Plus Graphics は、UHD Graphics の倍は性能がある、と言われるだけあります。
10世代CPU 内蔵グラ比較 | UHD Graphics 620 | Iris Plus Graphics G7 |
---|---|---|
Shading units | 196 | 512 |
Base Clock | 300 | 300 |
Boost Clock | 1000 ‐ 1150 | 1050 — 1100 |
max GFLOPS2 | 422.4 ‐ 441.6 | 1075.2 ‐ 1126.4 |
しかし、コチラのベンチも盛大に CPU のスロットリングは発生していますね。
FF 15 はかなり厳しい結果に
FF15 ベンチは予想通り、悪い結果になりましたね。
逆に、内蔵グラフィックスで FF15 ベンチはかなり厳しいんじゃないでしょうか。
自宅のメインPCは、Core i7-4770 と GTX 660 というかなり陳腐化したスペックなんですが、これでも FF15 はかなり厳しい、というかその PC で FF15 ベンチ走らせると頻繁にベンチが落ちます。。。
一応、1920x1080の高品質から、1280x720カスタム(要するに最低設定)まで試しましたが、全て「動作困難」、という結果になりました。
フレームレートも、どんなに頑張っても 30fps 超えることはできませんでした。
以下が計測ログのグラフですが、ベンチ回した回数分、CPU スロットリングの発生を見ることができますね。
Euro Truck Simurator 2 と Minecraft は比較的快適
そんなにグラフィックスの性能を必要としないゲームであれば、比較的快適に動かすことができました。
ユーロトラックシミュレーター2 (Euro Truck Simulator 2) は、グラフィックスの設定を「シンプルセッティング」の「低」にすることで、60fps で動作することが確認できました。
グラフを見ていただくと、さっきまでのような激しい CPU スロットリングが起きずに、概ね順調に動作しているように見えます(ただし、パワースロットリングは発生しています)。
GPU 側は、500MHz 程度に抑えられているように見えますね。
Minecraft (Java Edition) も、ETS2 と同じように、グラフィックス設定を標準に設定しておけば、60fps で動作するので、プレイには特に影響はないように思います。
ただしこちらは、計測の最初の方で、
- 解像度は UHD+ (3840x2400)
- Mincraft のゲーム側では 1920x1200 フルスクリーン
で実行したために、激しくスロットリングを起こしています。
実際、フレームレートも 20fps 前後にまで落ちています。
UHD+ のディスプレイを搭載した XPS 13 で、Mincraft をフルスクリーンで遊ぶには、一旦ディスプレイの解像度を、FHD+ (1920x1200) に落とした上で実行したほうが良いと思います。
また、チャンク数を MAX の 32 まで上げた際も、パフォーマンスがガタ落ちしますので注意が必要です(グラフ上では2回目に現れるクロック周波数の谷間の部分がチャンクを32にした部分になります)。
まとめ
以上、XPS 13 (9300) でベンチマークや、ゲームのパフォーマンスなどを簡単に計測してみました。
実際に、XPS 13 をゲーム用途で購入される方はいないと思いますが、Ice Lake の Iris Plus グラフィックスは、従来の UHD グラフィックス を搭載したマシンよりもゲームのパフォーマンスが高いのがわかりました。
参考になれば幸いです。
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