今年になってずっと噂になっていた、アップルシリコン製の CPU を搭載した MacBook Pro 13 が発表されましたね。

しかも、多くのメーカーが年に一度しか行わないモデルチェンジを Apple は半年で行いました。

 

 

M1 MacBook Pro 13

Apple M1 Mac models

Apple M1 Mac models

アップルシリコン製の最新 CPU、M1 を搭載した MacBook Pro 13 は、Apple によると 5倍速いグラフィックス性能、2.8倍速い CPU 性能、電力効率も優れていて、20時間持つバッテリーを搭載している、となかなかの内容です。

しかもさらに驚くのが、その価格帯。

今回、M1 を搭載した MacBook Air も発表されているのですが、その MacBook Air の高い方の価格帯の少し上、134,800円(税別)からのスタートになります1。デスクトップでよいのであれば、M1 Mac mini が 10万切ってきてますね。

M1 MacBook Pro 13

M1 MacBook Pro 13

ストレージ容量の違いで、2種類のベースモデルがありますが、内容的にはストレージの容量の差以外に違いはないように見えます。メモリ 16GB に 1TB ストレージモデルで、税別ではありますが 20万円を切るっていうのは、これまでの Intel MacBook の事を考えると、まさにエポックメイキングな出来事だと思います。

ちなみに、MacBook Pro 13 は、従来の Intel CPU モデルも併売していますが、価格は + 5万円ほどの差があります。

 

Apple M1 プロセッサ

Apple M1 Processor

Apple M1 Processor

Apple の M1 プロセッサは、従来のプロセッサである Intel 系 (x86系、x64系) とは全く違う Arm 系2のアーキテクチャになります。

なので M1 の 8コアプロセッサと、Intel の 4コア8スレッドのプロセッサを単純に比較することはできません。

M1 の 8コアプロセッサは、4つの高性能コアと、4つの高効率コアに分かれており、ヘビーな処理は高性能コアで、ライトウェイトな処理は高効率コアで処理するようになっており、それによってより消費電力を抑えて CPU を駆動させるようにしています。

それ以外にも、8コアのグラフィックスコア、16コアのニューラルエンジン、ストレージコントローラをはじめとする周辺コントローラをワンチップに収めています(SoC3)。

 

気になる M1 MacBook Pro 13 のパフォーマンス

Apple M1 Processor

Apple M1 Processor

Apple の公式でも書いてありますが、

  • Xcode でのビルドスピードが最大2.8倍
  • 5倍速いグラフィックス性能
  • 機械学習のパフォーマンスは最大11倍
  • 20時間稼働し続けられるバッテリー

とあります。

今の所 Apple は、この M1 プロセッサのクロック周波数などの詳細な情報を公開していません。

例えば、MacBook Pro と MacBook Air はそれぞれ微妙に仕様の異なる M1 プロセッサを搭載しています。同様に、クロック周波数も異なっているだろうことは想像に難くないです。

いずれにしても、世界中が数多くのレビューを上げてくると思うので、それを楽しみにしましょう。

 

気になる M1 MacBook Pro 13 の互換性

CPU のアーキテクチャが全く違うので、従来の Intel Mac のプログラムはそのままでは動作しません。

Apple は、開発者向けに従来のコードを M1 向けに変換するための開発キットを提供しており、今後は M1 向けのアプリケーションも増えてくると思われますが、それまでにもう少し時間を要すると思われます。

また、Apple は ユーザー向けについては Rosetta2 というソフトウェアを使用することで、従来の Intel 向けのプログラムを実行することができる、としています。まあ、Apple や Mac のことについては詳しくはありませんので、これ以上深く言及できませんが・・

一方で、今回の M1 MacBook で採用される macOS Big Sur からは、iPhone や iPad 向けのアプリがそのまま実行できるようになり、この部分に関しては Intel Mac に対するアドバンテージになります。

・・そういえば、これまで Bootcamp で Windows をブートしていた人は、M1 MacBook で同様に x86 Windows を起動することはできなくなるんでしょうが、確か Windows にも ARM 版があったけれど、こういったのは動くのかな??

 

気になる Intel Mac の行方

これは Apple も名言していることですが、いずれ全ての Mac は Apple シリコン製の CPU になっていくでしょう。

ではこれで、Intel Mac 所有者は涙目かというと、そういうわけではありません。

MacBook Pro 16 や iMac Pro を始めとする製品群はいまだに Intel Mac ですので、まだ当面はそれぞれのアーキテクチャが並行して発売されていくのでしょう。

それに、まだ多くのサードパーティー製アプリケーションが Apple シリコン CPU に対応するには時間がかかるでしょうし・・

 

気になる Intel CPU の行方

MacBook Pro が安くなって嬉しいのヤマヤマですが、それよりも気になるのは Intel CPU の行方です。

M1 プロセッサは iPhone 12 に採用されている A14 チップと同様、5nm の製造プロセスルールで製造されています。

これに対して Intel はいまだに10nm プロセスルールの CPU がメインになっており、更に細かいプロセスルールで製造される CPU については、早くても 2022 年以降になる、とアナウンスしています。

Intel がもたもたしている間に、AMD は 7nm プロセスルールを採用した Ryzen プロセッサを世に送り出し、価格と性能で Intel をしのぎつつあります4

そもそも私の個人的な意見で言えば、Intel アーキテクチャというか、x86/x64 アーキテクチャはもはや図体のでかい、非効率なプロセッサの塊なんじゃないか?と思ってしまうことがあります。

昔の、Intel vs Motorola 戦争5を知っている人は少なくなってしまっているでしょうが、いまだにあの頃の Intel x86/x64 アーキテクチャの影 を背負ったまま肥大化しているように思えてならないのです。

数多くのレガシーを引き継いでいる x86/x64 は、電力性能費の向上には限界があると思います。

実際、Apple が自社開発 CPU を Mac に採用した理由の1つが、この x86/x64 アーキテクチャの限界だと言われています。

もちろん、Apple が Apple による Apple のためにフィックスした CPU を供給することで、最高のユーザーエクスペリエンスを提供する、というのもあるのでしょうが、過去に、モトローラの MC68000 (CISC の最高峰)→ Power PC (RISC CPU) → Intel (マイクロアーキテクチャ) と、数々のアーキテクチャを渡り歩いてきた Apple の最適解を今回出してきたということなのでしょう。

 

まとめ

というわけで、色々書いてきたわけですが、結局とりとめのない話になってしまいましたね。

M1 MacBook の話から、CPU アーキテクチャの話になってしまいました。

個人的には、M1 MacBook は今後が楽しみです。価格も Intel Mac よりこなれてきそうですし、ものすごく期待してしまいます。

そしてそれにもまして、これまで帝国を築いてきた Intel 系アーキテクチャの CPU に対して、Apple M1 を始めとする Arm 系の CPU がどれほど切迫してくるのかが、ものすごく気になります。

あと、個人的に気になるのは、RISC-V の行方かなぁ・・。


  1. ちなみに、MacBook Air は 104,800円(税別)と、129,800円(税別)が基本モデルの価格になります。 

  2. 古い世代には、ゲーム機「3DO」に採用された CPU、現在では ARM アーキテクチャ のライセンシングで数多くの ARM系 チップが出回っています。たとえば、スマートフォンの CPU はほぼ ARM 系です。近頃では、スパコンの CPU に採用されていることでも有名ですね。 

  3. System-on-a-Chip: CPU や周辺回路を1つのチップ上に載せた集積回路製品。 

  4. なお最近は、天狗になりつつあるという噂もあります。 

  5. かつて、モトローラの MC68000 と、インテルの 8086 という共に 16bit CPU が覇権を争った時代がありました。結果がどうなったかというと、今どちらが残っているかを見るとわかりますよね。 


 

 

zaturendo

中小企業社内SE。

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