自宅にサーバーを持ちたい・・
サーバーを所有することは、漢のロマン。
そんなあなたに送る、サーバー廃人へのレクイエム・・・
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どうやって自宅サーバーを手に入れるのか
Dell にしろ富士通にしろ、正規にサーバーを買おうとするとものすごく高いですよね。
どれくらい高いのか。
実際に、Dell さんのページで PowerEdge T6401 を見積もりすると、いろいろ何やかんやと付けて、軽く税込み240万円を超えてしまいました。240万もあれば、車が買えますよね。
Xeonシルバープロセッサーを2個付けて、メモリが96GB、RAID6 に対応した RAIDコントローラ が付いていて、900GBのSAS HDD、起動用にM2 SSD、OS無しでです。
これは流石に、個人では手が出ません (当たり前ですが・・)。というか、手を出してはいけません。家庭崩壊まっしぐら ですね。
では、自作PC みたく自分でパーツを揃えて作る?
これは、サーバーを購入するよりかは安く済むかもしれませんが、それでもマザーボードだけでも最低4万円以上、CPUなんて、下手すると中古の軽自動車が買える価格ですし、メモリやHDDもサーバー用はものすごく値が張りますので、自作するというのもかなり無理があります。さらに、もしも相性問題なんていうものに当たってしまった暁にはもう頭を抱えるしかないですよね。
そこで、ヤフオクなどで手に入る中古サーバーの出番になります。ヤフオクなど、と書いていますが、事業者向けの中古サーバー販売サイトなどは、個人で購入するには高い場合がほとんどですし、フリマ系では取扱がなく、事実上ヤフオクの一強となります。
私の経験上の話ですが、ラックサーバーから、サーバーラック、ラックレール、UPS装置、サーバー用メモリや、SAS HDD 果てはテープ装置など、ほぼすべての必要なものが手に入ってしまいます。恐ろしい世界ですよね・・
どんな自宅サーバーがほしいのか
はたして個人でサーバーを使うとして、どのようなサーバーがほしいのかも肝心です。
ぱっと思いつくのは、
- ファイルサーバー
- 自宅公開用のWEBサーバー
- 自宅公開用大容量のクラウドストレージ
こんなところしょうか。。2
NAS ってどうなの?
ファイルサーバーの場合は、単純に QNAP などの NAS (Network Attached Storage) を購入するのも良いかもしれません。OSもオールインワンで入っていますし、機種によっては DLNA や、DTCP-IP みたいな動画配信サーバーとしての機能を持つものもあります。やる気によっては、Web サーバーや、メールサーバー、アプリケーションソーバー なども使えます。そして、何より、ベースが Linux なので、取り回しがしやすいです。
実際、私の所属している会社では QNAP の NAS にファイルサーバーのファイル群を、曜日毎に保存して、バックアップ装置のようにして利用しています3。また、電源管理で、自動起動や自動シャットダウンなども設定できて、めちゃくちゃ便利です。
でも、NAS といえでもそんなに安くはありません。本体だけ (HDD などのストレージは別売) で、5万円前後から。先の動画配信機能の付いた新機種でも8万位4になると思うので、結構個人で購入するのには躊躇してしまいます (先の私の NAS 使用例は、あくまでも会社の金で買ってもらいましたからね)。
Synology や、Buffalo (笑) なんかも NAS 出していますが、使ったことがないのでよくわかりません。Synology は QNAP よりも安いような気がするので、個人的に興味ありますが、Buffalo は論外ですね。いまはわかりませんが、OS が Windows だなんて、本当にセンスがなさすぎる。その部分についてだけでも本当に意味がわかりませんでした。
だから私は Buffalo が大嫌い なんです。
やはり、サーバー用途では Linux などの UNIX系 ですよね。異論は認めますが、他でお願いします。
古いPCって自宅サーバーに使えないかな?
はっきり言うと、使えます。
うちの会社には、私が営業時代から現役の DELL Dimension2400 で構築しているLinux で構築したファイルサーバーが未だに稼働しています。既にサーバー化してから、10年以上経っています5。
老朽化してしまっていて、いつ壊れるかわからないので、シャットダウンできません。既に最後のシャットダウンから、1584 日と、 23 時間 12 分 稼働し続けています(怖い・・)。
だから、タワー型でなおかつスリムタイプではない筐体で、内部が比較的スッカスカな、要するに、筐体内が冷えやすいデスクトップPCであれば、おそらく簡易なサーバーにはなると思います。ただ、やはり24時間365日稼働を前提として設計されていないので、「モノによる」としか言いようがないですね。。
ノートPC をサーバーとして運用されている話をたまに聞くことがあります。
これは、あくまで私の個人的な見解 6 ですが、ノートPCは、開発用の一時的なサーバーとしての運用はできると思いますが、24時間365日稼働はかなり難しいと思います。以前、ネットでの情報ですが、ノートPCをサーバーとして運用していて、ノートPCから発火・・ というようなことを聞いたことがあるので、やめておいたほうがいいとおもいます。
おすすめの自宅サーバーは?
で、結局、中古サーバーにまさるものはないかな?
というところで、早速ヤフオクのサーバー本体を見てみると、結構たくさんのサーバーがあると思います。
おすすめは・・、ぶっちゃけて言うと DELL ですね。
というか、ストレージをたくさん積んで、RAID6 でまとめたい場合は、ほぼ DELL 一択になるかもしれません。
というのも、他のメーカーでは結構 RAID5 までの対応のほうが多いです。
自宅サーバーの装備は何がおすすめ??
メモリや CPU
ファイルサーバくらいであれば、CPU を1基搭載、メモリも4G程度で動きますが、サーバーの勉強のために、仮想サーバーでたくさんゲストマシンをを動かしてみたいよ、というような場合は、コア数が多めな CPU ( Intel Xeon の 5000系 の6c/12t などが多いですね ) を2基搭載していて、なるべく多くのメモリを積んだ機体であれば、幸せになれると思います。
自宅サーバーにするならラックサーバーかタワーサーバーか
また、ラックサーバーかタワーサーバーかというと、ここはやはりタワーサーバーのほうがいいかもしれませんね。
ラックサーバーは置く場所に困りますし、なによりもファンの音がものすごくうるさいので( 小型のファンが高回転で回るので仕方がないです) 、音に敏感な方は睡眠不足になること確実です。
また、熱がこもりやすいので、室温が上がるとものすごい咆哮をあげます。某レオ○レス21みたいな物件だと、隣近所から苦情がくるかもしれませんね。
そもそもラックサーバーは、専用の部屋にそれなりの設備を整えて設置するものなので、静音対策する必要性がないんですよね。
それに、仮にサーバーラックにサーバーを搭載させて、なおかつUPSやスイッチ類を取り付けたりしたら、結構な重量になります。木造住宅で古い建物だと床が抜ける、というトラップが発動するかもしれません。
ただ、自宅ラック こそ漢のロマン、ということを否定する気は私には毛頭ありません。
もちろん、例えタワーサーバーであっても、普通のデスクトップPCに比べれば、置く場所に困るほど大きいので、これはこれで覚悟しないといけないかもしれません。
DELL であれば、 T-100番台からT-400番台のほうが気持ち小さくなります。T-600番台は、結構ごついです。それに重い7。
騒音に関しては、ラックサーバーに比べると小さいかな? 一部の機種は、起動時にファンを目一杯まで回すこともあるので、そのときはうるさいです。
自宅サーバーのストレージについて
そして、ストレージですが、ここはやはりサーバーって言うことで、3.5インチ用のマウンタがついている、交換しやすいタイプがいいですね。
2.5インチもいいですが、SAS8 ドライブならともかく、SATA ドライブを搭載することを考慮すると、3.5インチのほうが何かと応用がきくような気がします。
最近はかなり絶滅危惧種になりましたが、外部5インチベイを搭載したPCケースであれば、追加でストレージケースを取り付けて「なんちゃって」ストレージサーバー化させることも出来ます。
搭載可能なストレージ数は、最低4つあったほうがいいと思います。8本搭載できるタイプだと、6基を RAID6 で束ねて プラス、2基をホットスワップとして設定できるので、安心感が増します。
ヤフオク等ではHDDが既に何基か搭載済みの物も良く出ていますが、ここはやはり消耗品と割り切りましょう。使えても、寿命は短いと思っておいたほうがいいかもしれませんね。
自宅サーバーのデメリットは?
サーバー廃人を目指すのに、デメリットなんて言葉は辞書にはありません・・と言いたいところですが、
- 場所をとる
たとえ小さなタワー型のサーバーであったとしても、普通のデスクトップパソコンよりもでかいです。物によっては、かなりでかいです。そして、見た目よりも重いです。
- 電気代がかかる
電気代は、単純に1時間に100W としても、月あたり2,000円前後、年間24,000円前後かかります。200Wだと単純にその倍かかります。
「なんだ、それじゃVPS契約するほうが安いじゃないか」
などというのはナンセンスです。
ナンセンスですが、知っておくべきでしょう。
- 不在時の停電や、発火
さすがにサーバーを自宅で運用するのであれば、やはり理想としては24時間365日運用することを目指すことになると思うのですが、そうなってくると不在時の停電に対処する必要があります。最近は、災害が多いですからね・・
そういった停電には UPS を購入する必要があります。一般的なサーバーマシンであれば、500~750W の電源が一つないし、二つついていると思うのですが、実際には100W ~ 200W程度しか使用していないと思うので、Smart UPS 750 を一つつけてやれば大丈夫でしょう。
新品で買えば、4万円もあればお釣りがでます。
・・え? 予算がオーバーって??
ここだけの話ですが、ヤフオクで調べてみましょう。結構たくさん UPS の玉があるはずです。これらの中古品は、すでにメーカー推奨の使用期限を超えているかもしれませんし、内蔵のバッテリーの寿命も、あとどれくらいかわかりません。そして、もちろんメーカー保証も効かないかもしれませんが、あくまでも自己責任の範囲であれば、購入を検討してみてもいいかもしれません9。
また、UPS の交換用バッテリーはたいがい高価ですが、すでにメーカー保証も切れているのであれば、これまた自己責任になりますが、市販のシールドバッテリーに交換してしまう方法もあります10。
それでも、やはり自己責任は怖いなぁ。。という場合は、素直に新品の UPS を購入しましょう。UPS があるのとないのとでは、安心感が全く違います。
また、UNIX系のOSを使用する場合は、APCUPSD というデーモンで UPS の状態を監視することができ、電源消失時の動作を詳細に設定することもできます。
Windows系のOS を入れるという奇特な方は、素直に PowerChute を購入してください。
発火については、これは年に一度でもいいと思うのですが、筐体を開いて掃除するように心がけましょう。特に、ペットを飼われているようなご家庭 では要注意です。ホコリと一緒に、結構な量のペットの毛が付着します。
- 騒音
騒音については、タワー型であればそんなに気にならないかもしれませんが、寝室においた場合は気になってしまうかもしれません。ラックサーバーの場合は・・騒音については諦めましょう。
- 熱対策
おわかりのことだとは思いますが、高温多湿の場所にサーバーを設置しないでください。寿命が短くなります。直射日光の当たらない涼しい場所が最適です。
まとめ
自分の自由にできるサーバーを手に入れるのは、漢のロマン ですよね・・
え、私ですか?
自宅サーバーですか?
まさか、そんなの持ってるわけないじゃあないですか・・、自宅にサーバーなんて置こうものなら、家から追い出されますよ・・
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Dell のタワー型サーバー。 ↩
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ソフトウェア開発用のWEB環境や、自分専用のGitリポジトリなども、大まかに上記にふくまれると思います。 ↩
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具体的には、深夜に NAS 上の曜日ごとのディレクトリに、ファイルサーバの内容を
rsync
コマンドで同期させています。 ↩ -
ストレージが4台搭載できる機種の場合。 ↩
-
過去に一度だけHDD交換しています。 ↩
-
いや、というよりこの文書全体が、個人的な見解です。 ↩
-
小ささを求めれば、HP の Proliant MicroServer もありますけどね(^^ゞ ↩
-
Serial Attached SCSI の略。SATA (Serial ATA) よりも高速で堅牢。NL-SAS というなんちゃって SAS もあります。接続に関しては、SASはSATAの上位互換なんで、SAS のコネクタに SATA ドライブを取り付けることは可能です。 ↩
-
そして、大体において問題なく動作します。。 ↩
-
このあたりは、ネットでググってください。ただしあくまでも自己責任です。また不要なバッテリーは、然るべき方法で処理するようにしましょう。 ↩
2件のコメント
通りすがりのゴミエンジニア · 2020年12月17日 10:39 PM
オチが秀逸でふふってなりました。
たしかにUPSもあった方がいいですねぇ。。
zaturendo · 2020年12月21日 10:50 AM
木造の借家では、床が抜けてしまうかもしれませんしね・・(^_^;)